煙の玩具70

 これも、さる方がシカゴから持ち帰ってくれたパイプです。実は購入したのは69を買った1ヵ月後です。更新をサボっていたもので。

 お取り置きしていただいているお店には、とうとう小ぶりのパイプしかなくなりました。けれど、この1本はステムから継ぎの部分、そしてマウスピースと、本当に微妙な曲線で構成されていて小さいながらもかなり美しいパイプです。帰途についたとき、69を買ったときのような物足りない気持ちにはならず、喜びの心で胸がいっぱいでした。

 これは、僕にとっては記念すべき、70本目の HANSEN です。さる方がたくさん HANSEN を日本に持ち帰ってくださったため「70本の時」は意外に早く訪れました。

 HANSEN は、ラフトップのものが多いのですが、これはフラットトップで、バーズアイがぎちっと詰まっています。

 喫ってみましたが、小さいパイプのコントロールが下手なせいで熱くしてしまいました。本来は具合のいいパイプのはず。ひとえに僕の喫煙技術の拙さが原因です。この70本目の HANSEN で、勘を取り戻そうと思っています。

煙の玩具69

 お取り置きしていただいているお店から、また1本、HANSEN を引き取ってきました。

 置いてある分の中から、大きい順番に購入しているので、残るパイプはだんだんと小さくなってきます。ここのところ、牛角の継ぎの大型ばかり買っていたので、この中型のパイプを持って帰る途中「いまひとつ、充実感がないな」などと考えていました。

 その旨を知り合いに話したところ「HANSEN の基本を押さえたいいパイプじゃないか」と、たしなめられてしまいました。お恥ずかしい。強面のパイプばかりを買っていたので、感覚が少しヘンになっていたようです。

 よく見てみれば、長めのマウスピースが流麗な、結構、美しいパイプなのでした。ゴツいパイプでおかしくなってしまった僕のセンスを修正するために顕現した使者なのかもしれません。喫ってみましたが、具合も上々です。

 また、感覚が狂ったら、これを引っ張り出して、パイプ選びのセンスを修正・更新してもらうようにします。

煙の玩具68

 このパイプのことも書いておかなければなりません。66、67と並んで、今日、この日に入手したパイプだからです。

 正直、牛角で継いである3本のうちの1本だから買いました。美しいパイプだとは思ってはいません。とにかく、チャンバーが冗談のように大きいのです。頭でっかちです。けれども、グレインに限定していうならば、66、67よりも美しい柾目を持っています。細く、乱れの無いグレインが文句が出ない流れでボウルトップに向かっています。ここは満足です。

 上の写真を見ていただければ、これがどれほど大きなボウルを持ったパイプか、お分かりになると思います。人喰い植物みたいです。アメリカ人もビックリですね。これに、たっぷりタバコをつめて喫ったら、3時間以上、もつのではないでしょうか。

 66、67、そして、この68には、まだ火を入れていません。最初に、この68を使ってみようと思います。この68に関してのブログを書き終わったら、すぐ喫って見ます。夜が明けてしまうかもしれません。

煙の玩具67

 これも、本日、購入したパイプ3本の中の1本です。

 手にとったときにはため息がもれました。このパイプの美しさは煙の玩具20に引けをとりません。20に似ているのですが、曲線を廃した、すとーんとまっすぐな雰囲気が異なります。ちょっと厳つくて挑戦的なシェイプです。

 ひと目見て「買おう」と思いました。これが、オークションに出されたパイプだったら、僕は最後の最後まで胃の痛みに苦しんだでしょう。やっぱり、お店から買うのは楽です。しかも、値段は僕が想像していた金額の半分ほどでした。

“美の十傑”の順位を組み替えなければいけないかもしれません。堂々として美しいこの1本は、これから僕の心の支えになってくれるパイプでしょう。こんなパイプが、ひょいと目の前に現われる。パイプはやっぱり、やめられない趣味です。

煙の玩具66

 久しぶりの更新です。そして、リアルタイムです。今日、買いに行き、買ってきたパイプのことについて書きます。

 僕は今まで、自分の持っている HANSEN のパイプで一番美しい1本は、煙の玩具20で紹介した、牛角で継いだパイプだと思っていました。そして、これは HANSEN の中でも、もしかしたら、珍しい部類に入るのではないか、とも勝手に考えていました。

 ところが、現実は全然違っていました。ある方がアメリカから10本以上持ち帰ったパイプの中の実に3本がこのタイプだったのです。

 その方はそれらのパイプにリーズナブルな価格設定をしてくれて、僕が月に一本ずつ購入するという条件を快く承諾してくれました。これによって、僕は1年間、安定した HANSEN のパイプの供給を受けることができるようになりました。そして、今日、僕は一時金が支給されていたので、最初の3本を選んで購入しました。どれも、牛角で継がれたパイプです。そして、この1本は、今まで僕が1本しか持っていなかったシッター(セッター)でした。

 当たり前のようにストレートグレインで、埋めなど一箇所もなく、カットされた底面にはバーズアイが詰まっています。おんぶと言えば抱っこになってしまいますが、底面をスパッと切ってあるため、僕の好きな流体的な雰囲気を持つパイプではありません。それでも美しい。並べられた HANSEN のパイプの中で、一番先に目を奪ったパイプが、この1本だったのでした。

煙の玩具65

 僕が持っている HANSEN はスムースがほとんどです。決して狙い撃ちをしているわけではなくて、ブラスト処理されたものがなかなか目の前に現れないのです。10本も持っていないんじゃないでしょうか。たまたま僕の場合がそうなのか、HANSEN の工房で、ブラスト処理されたパイプをあまり作らなかったのか、そのあたりのことはよくわかりません。
 ともかくも、こんなパイプがひょんと出品されたので、ちょっと無理して購入してしまいました。

 かなり深く処理されています。僕が持っている HANSEN の中では、一番、刻みが強いですね。グレインはリングです。

 大きさも手頃で、それに軽いです。とても軽い。家の外での使用が多くなりそうな1本です。どうも、僕が持っているパイプは大ぶりのものが多くてお座敷パイプになってしまうので、こんな感じのパイプを入手できたことは嬉しいです。

 僕はひきこもり型のパイプ喫みだったのですが、最近は同好の氏と家の外で燻らすことが多くなってきています。それを見越したように現れたこの1本は、活躍することになるでしょう。

煙の玩具62

 これはおそらく、新世代の HANSEN パイプです。

 僕は、こういったパイプを“平成 HANSEN ”などと勝手に呼んでいます。デンマークには、故・ハンセンと同じ名前の“Poul Hansen”という喫煙具のお店があり、おそらくはそこで販売されたパイプだと思われます。

 僕は、この“平成 HANSEN ”を他に2本、所有していますが、ここでは取り上げていません。僕はパイプの旨さというものは複雑系であると考えています。何かひとつの条件によって不味くなったりはしないと思っているのです。
 しかし、新世代の HANSEN のパイプは、その流麗な景色に反して、この僕にも「……?」と思わせるものでした。

 親切な方がおりまして、このパイプがオクにあがっていることを教えてくださいました。
 その人の好意を無視したくなかった僕は、祈るような気持ちでこれを落札しました。

 かつての工房、Poul Hansen では、パイプに“HANSEN BRIAR”“HANDMADE”“MADE IN DENMARK”の文言が打刻されていました。 
 僕が言うところの“平成 HANSEN”には、普通“HANSEN BRIAR”というそっけない文字が打ち込まれているだけです。これもそういったパイプの一本であることは、商品説明を読むだけでわかりました。

「具合が悪くてもしょうがないや」と僕は開きなおることにしました。それでも、パイプが届き、火を入れるときはドキドキもんだったのですが。

 僕は思います。「常に例外といったものがあることを念頭に置かねばならない」「断言してはいけない」。
 このパイプは喫えるパイプだったのです。手持ちの HANSEN の中で一際具合がいい、とか、そういったことではありません。けれども、他の2本の“平成 HANSEN”よりは、ずっと具合がいいパイプだったので、安心しました。また、61のパイプと、いい感じで“対”になるのも嬉しいと思います。

 僕は、このパイプを手持ちのものとして公表します。教えてくださった方に感謝いたします。