煙の玩具03

 このパイプは、僕にとって「具合が悪いパイプ」です。いえ、パイプが悪いのではない。僕の喫い方が下手くそで、このパイプの潜在力を引き出せないというのが正しいでしょう。所謂「ボウルが塔のように高い」パイプの一種なのです。伝説のパイプ屋さんである、コペンハーゲンの“PIPE・DAN”の名物パイプだった Chimndy などと比べれば、このパイプなどまだまだ普通のパイプのシェイプに近い、異形ではないパイプです。これすら使いこなせない僕には、本当はパイプを語る資格などないのかもしれません。

 さて、このパイプはもしかしたら“現行品”かもしれません。現在でも Poul Hansen という名前のパイプ屋さんはデンマークにあります。そのお店の商品かもしれないのです。まず、このパイプは異様なまでに使用感がありません。絶対に USED ではありません。絶対、これは新品です(いろいろな Hansen のパイプを入手し、比較することができるようになった今だからこそ、疑念が発生するのです)。
 普通、Poul Hansen のパイプには“HANSEN”“BRIAR”“HANDMADE”“MADE IN DENMARK”の4行が打刻されているのですが、このパイプには“HANSEN”“BRIAR”の2行しか刻印がないのです。いずれ、書くつもりですが、僕は“現行品”としか言いようのない Hansen のパイプをもう一本、持っています。これも、見て触っただけで、絶対に時間を経ていないと言い切れるパイプです。

 だからと言って、僕がこのパイプを使いこなせないという言い訳にはならないのですが。