煙の玩具16

 ここからは、ちょっと僕がワクワクしてしまうパイプが連続します。ナタとノミでぱんぱーんって作ったみたいなパイプ。1970年代から80年代にかけて、デンマークの作家さんたちが作ったファンシーパイプの一翼を担う Poul Hansen のフリーハンドです。もしかしたら、 Poul Hansen 自身が作ったのかも知れません(証明する手段はありませんが)。

 荒々しいラフトップのボウル、燃えるように拡がる素晴らしいグレイン、そして初期のファンシーパイプによく見られる、儚げで折れそうなエボナイトのステム。これ、どこで購入したんだっけな。オクだったかな。忘れてしまいました。でも、その「具合の良さ」が嬉しかったことはよく憶えています。このとき、僕は自分の出生日とほぼ変わらない時に作られたパイプを手に入れたのでした。

 そして、例によって僕は、このパイプと“対”になるパイプを探すことになります。それは狙撃兵の生活でした。目の届く範囲の警戒を怠らず、待つのです。このパイプを咥えながら、これと対になるパイプが姿を見せるのを待ちました。ファンシーパイプの2本目を手に入れるまで、ずいぶんと待った記憶があります。けれども、Hansen はたくさん輸入されたパイプです。2本目はオクだったかな。でも、入札競争をした記憶がない。eBay だったかな。とにかく、僕は2本目を入手することに成功したのでした。