煙の玩具28

 ロバットがつづきますが、時系列的には50本を超えても Hansen に関しては購入欲が止まらず、開き直っていたころに購入したパイプです。“美の十傑”の一本であり、25のパイプと対をなすもの。京垓さんの社長がシカゴから持ち帰ったパイプの1本です。

 同じロバットですが、27よりもはるかに長く、ボウルは高く、グレインは文句のつけどころのない1本です。

 一般に、Poul Hansen のパイプは「初期はファンシーなものが多く、だんだんとクラシックのシェイプに変わっていく」と言われていますが、僕はこの28のパイプは、かなり前期に作られたパイプではないか、と思っています。

 馬鹿げているほどに長く、ステムの仕上げを見ても眺め入ってしまうほど見事なのです。そして、大袈裟です。

 社長がシカゴから持ってきた、一連の Poul Hansen のパイプは、常に僕にプレッシャーをかけつづけていました。貧乏サラリーマンの僕は、これらを全部 RESERVED にしてくださいなどと言う勇気はなく「売れるな、売れるな」と冷や冷やしながら、一ヶ月に1本の割合で的にかけていました。この28を入手できなかったら、僕は10年以上、後悔することになったと思います。頭がおかしくなっていたかも知れません。今、しみじみと眺めながら「買えてよかった」と、安堵のため息をもらしています。