煙の玩具44

 その時、僕は錦糸町の喫煙具店ラ・ピエールさんのサイトを見ていました。USED の dunhill に混ざって、Hansen のパイプが2本あるのを発見したのです。1本は、もう1本の造形を崩したようなシェイプ。最初から“対”になっていました。初めてのことです。僕はPCの電源も切らずに鞄に紙巻とライターを放り込んでいました。

 お店に着き、ご主人に「サイトで見たんですけど、ここには Hansen が2本ありますよね。見せていただけないでしょうか」と言うと、ご主人は「う」と応じて、お店の奥でがさごそと探し「う」と言いながら、上記の Hansen を見せてくれました。そのパイプは、古い Hansen のパイプが備える細いフィッシュテイルのステムではなく、平たいアクリルのマウスピースを使っていました。そういった Hansen のステムを見るのは初めてではないのですが、数が少ないため「珍しい」と僕は心の中で呟いていました。

 小奇麗なパイプでした(掃除が無茶苦茶に難しいことが後に分かるのですが)。「こちらはいただきます。もう1本を見せていただけますか?」と僕が尋ねると、ラ・ピエールのご主人は「う」と言って、またお店の奥をがさごそと捜しはじめました。